作品詳細

年に一度開催されるヘアコンテスト。美容師たちは、磨き上げてきた実力と知識を発揮し、今年こそ優勝するのだと誰もが固く誓っていた。しかしその直前、スター美容師・モスカが変死を遂げた。頭皮を切り取られた無惨な姿で、遺体となって発見されたのだ。事件現場のコンテスト会場に集まっていたのは、髪を切ることに才能と情熱を傾けてきたライバルの美容師3人と、彼女たちが担当する4人のモデル。一同は警察の捜査が終わるまで会場を出られなくなってしまう。もっとも、優勝を争う美容師たちは皆それぞれに“訳あり”だ。確かな実力を持ちながら、血の気が多く感情のコントロールが利かないクリーヴは、かつてモスカとトラブルになった際に流血事件を起こしたことがある。虎視眈々と優勝を狙う野心家のケンドラは、いまやモスカの時代は終わったと確信していた。シングルマザーのディヴァインは、気弱だが信仰深く、どこか危うい儀式にも手を出している。死体の第一発見者は、モスカの担当モデルであるティンバだった。長時間の施術中、空腹に耐えかねて席を立ち、わずか5分後に部屋に戻ったところ、モスカが死亡していたのである。モデル仲間のアンジー、イネス、エッツィはティンバの話に興味津々だ。彼女によると、モスカは自信家だが、他人を見た目で判断し、思い込みも激しい性格。ひとしきり話を聞いたエッツィは、「だからモスカを殺したの？」とイネスに尋ねた。そう、この会場にはまだ殺人鬼が潜んでいるかもしれないのだ。美容師とモデルたちが互いに疑いの目を向け、コンテストの不正疑惑も持ち上がる一方、モスカと恋愛関係にあった男たちは悲しみに暮れていた。コンテストの主催者・レネはモスカの元恋人。さらに現在の恋人・アンヘルも、モスカの幼い子ども・パブロを連れて事件現場にやってきた。　変死事件の衝撃と恐怖、不安とともに、噂と疑念が関係者たちの間にじわじわと広がる。その日、いったい何が起きたのか。なぜモスカは死んだのか、動機がある人物は誰なのか。数々のゴシップによって真の人間関係が暴かれるなか、不気味な警備員・ギャックが会場内をうろつき、謎めいたもう一人の警備員・パトリシオも姿を見せる。そして、思わぬ悲劇がとある人物に襲いかかり……。